経鼻内視鏡.jP
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胃切除後の吻合部潰瘍とは

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2012/04/05

このタイトルをご覧になって「え!?大変な思いをして手術をしたのにまた違う病気になるの?」と思うかもしれませんがご安心ください。この吻合部潰瘍、実はあまり多くみられる症例ではないんです。

『吻合部潰瘍(ふんごうぶかいよう)』とは・・・
胃癌や胃十二指腸潰瘍の手術をした患者さんの吻合部(つなぎ目)に出来る潰瘍のことです。
吻合部潰瘍は、術後約1~2年以内に起こることが多く、切除胃と十二指腸を吻合した部位に潰瘍ができるため、空腹時の上腹部痛・胸やけ・悪心・嘔吐など、普通の胃潰瘍や十二指腸潰瘍とそっくりの症状が現れます。また、出血を伴う場合は吐血や下血を認めるケースもあることなども通常の消化性潰瘍と共通です。
(参照) 胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは

通常、胃や十二指腸の病気で胃切除術が行われる場合は、良性でも悪性でも胃酸分泌がなくなるような手術法=減酸手術(亜全摘術 or 迷走神経切断術)が行われるため、吻合部に潰瘍はできにくいとされています。では、なぜ潰瘍ができてしまう症例があるのでしょうか?
その理由として
①胃切除し消化管を再建した部位付近の血流障害が起こっている。
②胃の幽門腺が残存していると、そこから分泌されたガストリンという消化管ホルモンによって胃酸分泌が亢進し、これが粘膜など細胞組織に障害を起こして潰瘍形成する。
③潰瘍の出血や穿孔などで緊急手術、あるいは Palliation(緩和)目的の手術で減酸処置を行ってない時、あるいは減酸手術を施行したが不十分である
などの原因が挙げられます。

胃の主な働きは食べ物を消化することですね。
高い酸性の胃液を分泌して食べ物を消化するため、術後の小さくなった胃に対しても術前と変わらない胃液分泌量では胃粘膜や胃とくっつけた十二指腸や小腸は簡単に傷ついてしまいます。また、消化管をはじめ人の身体に傷ができると、もとの皮膚や粘膜の状態に戻るには、血液からたくさんの酸素や栄養をもらい、傷(潰瘍)の修復をします。ところが胃液など粘膜を傷つけてしまう要因があると、潰瘍が治るまで時間がかかるものです。
特に術後などは、その修復まで長くて数年かかる場合もあるくらいなのです。

・・・・あまり多くない症例と言っておきながら、記事にするとこんなにも書けるのですね。
手術後も身体の一部が変わるのでご自身の身体でありながら戸惑うことも多いでしょう。私たちは少しでも安心して皆様が毎日を過ごせるようサポートできればと考えています。吻合部の潰瘍以外にも新しい病変ができたりしていないか、胃のチェック(つまり内視鏡検査)をしっかり行ってさえいればを恐れて恐々と生活する必要もありません。「手術はもう何年も前だけど、内視鏡はしばらくしてないなぁ。」という方、ご自身やご家族のためにまずは今の胃の状態を見直してみませんか??