経鼻内視鏡ブログ

2012年2月26日 日曜日

ノロウィルス胃腸炎

ノロウィルス胃腸炎・・・冬になると必ずこの言葉を耳にしますよね。
今年も多くの方々がこのウィルスにかかり苦しまれたのではないかと思います。今回はノロウィルス胃腸炎によって起こる症状や感染経路、治療法やその予防法などについてお話したいと思います。


ノロウィルスの電子顕微鏡写真(Wikipediaより)


*症状・・・嘔吐、下痢、発熱が主な症状として現れます。

個人差はありますが、概ね以下のような症状経過をたどります。突発的な激しい吐き気や嘔吐・下痢・腹痛・悪寒・38℃程度の発熱をきたすのですが、その数時間前から胃に膨満感やもたれを感じる場合もあります。これらの症状は通常2-3日で治癒し、後遺症が残ることもありません。
まれに、感染しても菌体量が少ない場合は発症しないまま終わる場合や風邪と同様の症状のみが表れる場合もあります(この場合、ノロウィルスに罹患したことに気づかれません)。その一方で、免疫力が低下した老人や乳幼児は重症化して長引くことがあり、これまでに死亡した例も報告されています。
一般には「胃腸かぜ」「嘔吐・下痢・腹痛を伴う風邪」という表現がありますが、それらが実は単なる風邪ではなく、ノロウィルス胃腸炎であることも多いのです。これらの人でもノロウィルスによる感染は成立しており糞便中にはウィルス粒子が排出されているため、周囲にいる人は注意が必要です。


*感染経路・・・ノロウィルスの感染源は経口感染が主な原因です。
感染経路は大きく分けて以下のようになります。
①飲食物からの感染(食中毒)
食中毒→ウィルスが含まれた食材や食品を摂食して感染。
水系感染→ウィルスで汚染された水道水、井戸水を飲んで感染。

②ヒトからヒトへの感染
ノロウィルス感染者の糞便や嘔吐物に含まれるウィルスが手指に付着したり、飛散した飛沫を介したりして最終的には経口感染。
感染者が充分に手を洗わず調理した食事を食べて感染(これはむしろ①かもしれません)。


*治療法・・・対症内服療法と脱水予防の点滴です。

2012年現在、ノロウィルスに直接効く抗ウィルス剤は存在しません。
治療としては、なんと言っても「胃腸の安静」(つまりは絶食のことです)が最重要です。ノロウィルス胃腸炎になったとき、完全に24時間絶食を貫くことができれば、たちどころに治癒に向かうでしょう。この場合、幾分か脱水気味になりますので、下記の点滴を併用するのがよいでしょう。
この他、胃薬・制吐剤(吐き気止め)・整腸剤などの内服薬があります。止痢薬(下痢止め)の使用については現時点では賛否両論です。止痢薬はウィルスを体内に留めさせることになるので用いるべきではないという意見が日本の厚生労働省などで存在する一方で、下痢による脱水症状は全身状態を衰弱させるので止痢薬を用いるべきであるとする意見も米国FDAなどで世界中に支持されています。
重症例で下痢が酷くて脱水傾向の場合には、病院で行う点滴(輸液)が有効です。上記に書いた「胃腸の安静(=絶食)」と脱水予防を同時に行えるからです。家庭では点滴はできませんから、スポーツドリンクなど電解質を含む液体を人肌に温めてから飲むことが推奨されます。


*予防法・・・感染の連鎖を瀬戸際で食い止めましょう。

ここまで説明したことを総合すると、特に飲食物を扱う人間が充分に注意を払うことが感染予防に繋がります。まずは調理者が充分に手洗いをすること、そして調理器具を衛生的に保つことが重要になります。ノロウィルスは85度以上1分間以上の加熱によって感染性を失うので、食品は中心部まで完全に加熱させることが重要です。
また、上に書いたように感染経路は最終的には「経口感染」ですから、「うつされる側」が瀬戸際で気を付けることが最終的には最も有効です。つまり、食事前の綿密な手洗いやうがい→手洗いの後は周囲のものに触れない(厳密には、蛇口やドアノブにも触れずに食事へ向かいます;コツは・・・工夫してください)。もちろん、手洗い後のタオルは家族で別々のものにします。


当院にもこのノロウィルス胃腸炎で来院される患者さんが多くいらっしゃいますが、どのお方も本当に辛そうな表情をされて来られるので私どもも一日でも早く完治して欲しいという一心で診療を行っています。点滴などで、早期に楽になることができますので、早めにご受診くださいね。

*ちなみに「ノロウイルス」、「ロタウイルス」、「サポウイルス」、「アデノウイルス」などが胃腸炎の原因になるウィルスです。どのウィルスかによって治療に違いはありませんので、ウィルスを同定する検査までは臨床上は必要ありません。また、ウィルス性胃腸炎になってしまった場合、感染した経路を知りたくなるものですが、集団発生でもしていないかぎり感染経路はつかめないことがほとんどです。


投稿者 医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック