経鼻内視鏡ブログ

2012年7月24日 火曜日

異所性胃粘膜とは?

「異所性胃粘膜」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?
異所性胃粘膜とは、胃粘膜が胃以外の臓器に見られたり増殖したりすることをいいます。主に先天的(生まれつき)のものと後天的(生まれてから何らかの変化を起こす)ものとに分けられます。

医師が普段の診療中に出会う先天的な「異所性胃粘膜」は、通常、食道や十二指腸球部に分節状の小結節または茎のないポリープとして見られ、あまり病的な意味がないものです。胃液を分泌する主細胞や副細胞を持つ胃底腺粘膜から成っています。


食道の異所性胃粘膜です。


十二指腸の異所性胃粘膜です。
青い色素を散布することで凹凸を強調しています。

他に先天的なものとしては「メッケル(Meckel)憩室」というものも有名です。少し話が難しくなってしまいますが、胎生初期の造血の場である「卵黄嚢」と、将来空腸~横行結腸の一部になる「原始腸ループ」を結ぶ「卵黄腸管」というところがあります。胎生7~8週には閉鎖し消失するのですが、どういうわけかそのまま残ってしまい消化管の壁が限局した嚢状に膨れ出てしまったものを「メッケル(Meckel)憩室」といいます。このメッケル憩室の中にしばしば、胃粘膜の迷入が見られることがあります。

後天的なものについては、再生性変化(キズの治癒)に関連しており十二指腸潰瘍や十二指腸炎の治癒過程・炎症性腸疾患(たとえばクローン病などの瘢痕)によく見られます。この場合の胃粘膜は主細胞や副細胞がない、またはあっても粗い幽門腺粘膜から成っています。


さて、異所性胃粘膜の何が問題かというと・・・非常に稀なことですが、胃粘膜が腫瘍性変化を起こす、または潰瘍や消化管穿孔の可能性があるということです。異所性胃粘膜それ自体は普段の症状は特にありません。胃痛や胸焼けなどの症状があって、たまたま受けた内視鏡検査で偶然発見されるというケースがほとんどです。しかし、胃ではない臓器に生息しているので、大きく育とうとして腫瘍のように変化してしまい実際に組織を奥深くまで調べると悪性細胞が含まれている、または周囲の組織が胃酸分泌に耐えられず潰瘍を作ったり消化管穿孔(消化管に穴が空いてしまうこと)を起こし緊急手術になる場合もあるなど、普段無症状の割にはかなり恐ろしいことが起こることもあるのです。
特に症状がなくても、経鼻内視鏡検査を定期的に受けられることをお勧め致します。


投稿者 医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック