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胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは

消化器官の代表的な病気

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、粘膜、粘液、粘膜血流などの「防御因子」と、食物を消化する、胃酸やペプシンなどの「攻撃因子」のバランスが何らかの原因によって崩れ、胃や十二指腸の壁の表面が溶けた状態です。両者を合わせて「消化性潰瘍」とも呼ばれています。

一般的には、胃潰瘍は中年以降に、十二指腸潰瘍は比較的若い人に多く見受けられます。症状としては、みぞおちの痛みが代表的で、そのほか、げっぷ、不快感、嘔吐、背中の痛みなどを伴うことや、突然の吐血や下血、黒色便などが挙げられます。
胃潰瘍では食後に持続する痛みが、十二指腸潰瘍では空腹時や夜間・明け方に強い痛みが、それぞれ現れることが多いようです。

消化器官の代表的な病気
胃潰瘍

胃角部(胃の真ん中付近)にできやすい

活動期 活動期

潰瘍ができはじめたところ

治療期 治療期

潰瘍が治りかけているところ

瘢痕期 瘢痕期

潰瘍が治ったところ

十二指腸潰瘍

十二指腸球部(胃を超えてすぐの場所)にできやすい

活動期 活動期

潰瘍ができはじめたところ

治療期 治療期

潰瘍が治りかけているところ

瘢痕期 瘢痕期

潰瘍が治ったところ

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は壁が「掘れた」状態

胃や十二指腸の壁は、内側より順番に「粘膜層」「粘膜下層」「固有筋層」「漿膜(しょうまく)下層」「漿膜(しょうまく)」と複数の層に分かれています。

初期の胃潰瘍・十二指腸潰瘍では、粘膜層のみ欠損して「掘れた状態」になって出血しやすくなっています。胃潰瘍・十二指腸潰瘍が放置されて進行すると、掘れた部分が粘膜下層を経て漿膜層(しょうまくそう)に達したり、時には胃や十二指腸の全層を突き抜けたりして、緊急手術が必要になることもあります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因はピロリ菌やストレス

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、これまで刺激性食物の摂取などによるライフスタイルの乱れ、精神的・肉体的なストレスやアルコールの過飲により引き起こされるとされていました。

ところが近年、ヒトの胃に感染するヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)が、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の発症の原因の大部分を占めるとしてクローズアップされています。ピロリ菌は日本人の約半数が感染している言われており、特に50代以降に陽性率が高く、この菌が胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍の発症に密接に関係し、さらには胃がんの発症にも深く関わっていることがわかってきました。
(参照:ピロリ菌とは)

また、痛み止めや解熱剤として用いられている非ステロイド性抗炎症薬、抗生物質などの薬剤が攻撃因子として作用し、胃内の防御因子とのバランスを崩すことで発症することもあります。
ピロリ菌の顕微鏡像 ピロリ菌の顕微鏡像

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因となるだけでなく、慢性胃炎や胃癌の原因にもなる

診断は内視鏡検査(胃カメラ)が主役

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の診断には、内視鏡検査やバリウム検査が用いられますが、診断精度の点で内視鏡検査の方が圧倒的に高く、同時に胃粘膜採取によってがん細胞の有無やピロリ菌の有無まで診断できます。(参照:両検査法の比較はこちら)

要注意! 胃潰瘍と似ている胃がん

胃がんの中には、肉眼で見ると胃潰瘍のように見えるものがあります。病変の場所や形などで、医師はある程度は判別できますが、完全に確定できるわけではありません。そのため、内視鏡検査で潰瘍が見つかった場合、顕微鏡で組織を見ることで、がん細胞の有無を診断する場合があります。

また、潰瘍と診断された場合でも、がんを完全に否定する目的で数ヵ月後に再検査(内視鏡)が行われる場合があります。なかなか治らない胃潰瘍があれば、胃がんに注意すべきでしょう。
胃潰瘍と似ている胃がん 胃潰瘍と似ている胃がん

いずれも胃潰瘍部分の生検にてがんであることが判明

潰瘍の治療は内服薬が中心

胃内の「防御因子」と「攻撃因子」間のバランスの崩れを元の状態に戻すことが、治療の基本です。ストレスやアルコールの過飲、薬剤などが原因であることがはっきりしていれば、その原因を取り除き、併せて内服薬を処方します。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療薬には、胃酸分泌抑制薬や胃粘膜保護薬などがあります。 
胃酸分泌抑制薬は、胃を刺激する胃酸の分泌を強力に抑える薬剤です。

胃粘膜保護薬には、胃粘液の分泌促進と、血流の改善を促す等の働きをもつ、いわば胃の粘膜を護る薬です。両者の併用により治療効果が高まります。
最近の潰瘍治療薬は非常に効き目があり、ほとんどの潰瘍は手術をしなくても、薬剤を中心とした内科的治療で治ります。

まれですが、出血が多い場合には、内視鏡を用いた止血が行われることもあります。
潰瘍の治療は内服薬が中心

原因療法と予防の時代へ

多くの胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因であるヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)の除菌も長期的には重要です。除菌治療としては、2種類の抗生物質と胃酸の分泌を抑制する薬を1週間内服する方法が一般的です。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は再発することがあります。これを防止するため、治療薬を急に止めずに減量して服薬を続ける方法があり、これを維持療法といいます。医師から処方された薬剤は、患者さん1人ひとりの症状にあわせて処方されています。指示された用法・用量を正しく守って服用して下さい。服用する時間は、食前、食後等と定めてあり、薬剤が最も効果的に作用するような服薬の仕方が示されています。

胃・十二指腸のつらい症状がなくなったからといって薬を止めると、薬で保たれていた胃内のバランスが崩れて再発してしまう恐れもあります。定期的に医療機関を受診して、医師の診断を受けて再発を防止することが重要です。
原因療法と予防

再発予防のためには

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発予防のためには、ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)の除菌や常用内服薬の調節のほかに以下のような注意点があります。
喫煙をしない
喫煙は胃粘膜の防御因子の低下や血行障害を引き起こし、更にはがんなどの疾患を誘発する原因にもなります。
過度の飲酒はしない
アルコールによる胃粘膜への刺激は相当なものです。牛乳やチーズなどの乳製品で胃をガードしてからの適度な飲酒を心がけて下さい。
毎日規則的に食事を取る
食事を摂らないと胃腸の運動に変化が起こり、胃酸の刺激を受けやすくなったり、胃酸が出過ぎたりします。きちんとした食生活につとめましょう。
刺激物を避ける
コーヒー、お茶などカフェインを多く含む飲み物には、胃粘膜を刺激する働きがあります。とくに空腹時には控えた方がいいようです。
毎日7~8時間の睡眠を心がける
十分な睡眠時間の確保は胃炎の再発防止にかかせません。睡眠不足が続くと夜間に胃酸の分泌が促されるため、胃の粘膜に悪影響を与えます。睡眠不足自体がストレスの原因にもなります。
運動を定期的に行う
運動することで血行が促進され、消化管の機能が活発になります。またストレスの発散にも有効です。
ストレスの発散を心がける
休養や運動を含め、ゆとりあるライフスタイルを楽しむことも必要です。

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