経鼻内視鏡検査では、その名の通り鼻から行う検査法なので舌の根元に触れることなく挿入することができます。そのため、咽頭反射が起きず、殆ど吐き気なく胃の検査を行えます。 鼻からの胃カメラを行う医師には、これまでの消化器内視鏡医には必要とされてこなかった鼻に関する詳細な知識や、カメラ挿入時の細々としたテクニックが必要です。 また、鼻から入れる際に、鼻の粘膜がこすれることによって出血するケースがあります。しかし、検査後に鼻をかんだ際に少し血がつくという程度であり、ぽたぽた垂れるようなことはまずありません。鼻の上を指で圧迫する以外の止血処置が必要なケースは極めてまれです。 医師に鼻の解剖の詳細な知識と経験があれば、内視鏡挿入に最適な鼻内ルートを選ぶことができます。
経鼻内視鏡の欠点として時々言われることが、「画質がよくない」「光量が少ない」などです。 実際には、経鼻内視鏡の欠点とされる画質に関しては、従来の経口のものと差はありません。画面の若干の薄暗さは、医師の近接操作の技術や色素染色次第で十分に補うことができます。 まとめると、楽で高水準の経鼻内視鏡検査は、医師の高い技術によって成立しているということなのです。
鼻から行うだけでも、不快感はなくなる
従来の経口の胃カメラでの苦痛の7割以上が嘔吐反射であることを考えると、「吐き気をもよおさない」というだけでも、楽な検査方法だと言えるでしょう。
鼻からの検査件数が多い医療機関で検査を受けましょう!
また、鼻の麻酔方法ひとつをとっても、工夫・経験の積み重ねで大きな差が出ます。実際には、経鼻内視鏡検査に習熟した医療機関では、鼻が狭いなどの理由で鼻から内視鏡を入れられない方は約1000人に1人程度。おそらく通過するだろうけれど、無理をしなかった場合も含めての割合です。
挿入時の鼻の痛みについても、技術・経験面から考えて、医師一人あたりの経鼻内視鏡件数が多いほど楽に検査できると言えます。
病院によっては「鼻が狭いと通過できないので、口からの検査になります」「鼻血が出て止まらない場合もあります」「内視鏡の挿入時に鼻がかなり痛むことがあります」という注意点をとりわけ強調する施設があるようですが、検査法に習熟していない可能性があります。
中鼻甲介ルートと上鼻甲介ルート
人間の鼻は経時的に広くなったり狭くなったりを繰り返しています。検査の際に最も広く開いているルートを見きわめて挿入することで、鼻出血や痛みを防ぎます。
医師の観察眼や操作も大切です
このため、条件によってはこれまでの経口内視鏡と同等以上の観察力をもつのが、経鼻内視鏡と言えるでしょう。医師のテクニックという点では、経鼻内視鏡件数が多いほど技術・経験面で習熟していると言えます。