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吐血が症状!マロリー・ワイス症候群ってどんな病気?

2017/10/01

こんにちは、横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
皆さんは「マロリー・ワイス症候群」をご存知でしょうか。
聞いたことない、知らないという方が多いかもしれません。
今回はそんな胃の病気「マロリー・ワイス症候群」をご紹介したいと思います。

マロリー・ワイス症候群の病名の由来

少し不思議な病名ですよね。まったく病気の雰囲気が掴めないのも無理はありません。というのも「マロリー」と「ワイス」という2人の医師の名前から付いた病気なんです。
1929年、この2人の医師が、飲酒後に嘔吐を繰り返し吐血してしまった患者さんを調べた際、胃の噴門部(ふんもんぶ:胃の入り口)に縦走する裂創(れっそう)から出血していたことがわかり、これを報告しました。
それ以来、飲酒後に繰り返して嘔吐・出血し、内視鏡検査で胃に縦走潰瘍を認める場合を、「マロリー・ワイス症候群」と呼んでいます。
どんな症状なのか詳しく見てみましょう。

マロリー・ワイス症候群の症状

・繰り返す嘔吐の後の吐血
・下血(黒色便)
・心窩部痛(みぞおちあたりの痛み)
・立ちくらみ

出血を伴うため、量が多い場合はショック状態に陥ります。出血量は約1000ml前後から2000mlとされており、輸血が必要な場合が約10〜50%と報告されています。
では、どうして上記のような症状が起こるのでしょうか。

マロリー・ワイス症候群の原因

繰り返す激しい嘔吐のために腹圧が上がり、食道の出口から胃の入口付近(食道胃接合部付近)において、胃軸に沿って左右に強い力(伸展力)が加わります。すると粘膜が縦方向に亀裂を起こし傷(裂傷)が出来ます。その部分から出血がおこります。
嘔吐の原因は飲酒が関与する割合が30〜50%と報告され、約半数を占めています。飲酒以外の原因には、食中毒、乗り物酔い、妊娠悪阻(つわり)などがあります。
一方、吐血の原因は、上部消化管出血の10%前後にあたります。11~8対1で男性に多く、年齢は平均45〜50歳とされていますが、小児の報告もあります。

マロリー・ワイス症候群のマロリー・ワイス症候群の検査と診断

主に行われる検査は、血液検査、上部内視鏡検査(胃カメラ)です。
血液検査では吐血や下血を起こしている為、貧血の状態が認められます。胃カメラでは、どこから出血しているか、潰瘍の深さ、大きさ、出血の仕方か(すでに止まっている、出血が続いているか)などを観察します。
以前は胃X線(レントゲン)検査を行っていたのですが、潰瘍部が浅い場合はわからないため、現在は吐血で受診した患者さんには、基本的に胃X線検査ではなく胃カメラを行います。

マロリー・ワイス症候群の治療方法

ほとんどは保存的治療(絶食・補液・酸分泌抑制薬・止血薬・粘膜保護薬)で自然に治癒します。
内視鏡検査で潰瘍から出血が確認された場合は、ただちに内視鏡下に止血処置を行います。出血が止まっていても、潰瘍に凝血塊が付着しているもの、露出血管のあるものは再出血する可能性が高いため、同様に内視鏡下で止血処置を行います。
止血処置には、潰瘍の露出している血管にクリップをかける方法、血管を電気焼灼(しょうしゃく)する方法などがあります。
処置後は、潰瘍の深さ、全身状態などによりますが、一般に潰瘍の深いものは入院し、絶食、輸液療法などの治療を行います。
潰瘍の治療として、H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬などの酸分泌抑制薬を服用します。

マロリー・ワイス症候群の症状に気づいたら…

いかがでしたか。この病気は繰り返す嘔吐の後の吐血、下血(黒色便)、心窩部痛、立ちくらみなどの症状が起こります。女性よりも男性の方が発症率は高く、45~50歳の方は特に要注意です。
症状はとても辛いですが、99%に保存的治療が可能ですので、嘔吐した時に出血した場合など、症状が当てはまる方はなるべく早く内視鏡検査が行える病院を受診してください。
もちろん当院でも内視鏡検査を行っていますので、ご家族やご友人がこういった症状がみられた場合はお気軽にご相談くださいね。