経鼻内視鏡.jP
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胃癌の組織型分類

2013/05/23

胃ってそもそも、どんな役割がある臓器なのでしょうか?

胃はまず、私たちが口にした食べ物を一時貯めておく役割があります。この間に、大量に分泌される胃液とよく混ぜ合わせて、どろどろの状態にします。胃液は、なんと一日で1.5リットル~2.5リットルに相当する量が出ているんですよ。このどろどろの内容物を十二指腸に送り出し、その後は十二指腸の消化の進み具合に合わせながら、少しずつその内容物を送り出していきます。
正常な胃では、胃の内容物の停滞時間は30分~4時間といったところでありますが、粘度の高い脂肪などは7~8時間も、胃の中に停滞することもあるんですよ。胃の役割は倉庫であり、かくはん器であるんですね。そんな働き者の胃が、胃癌になってしまったら・・・

胃癌による日本における死者数は、男性は肺癌に次いで、女性は大腸癌に次いで第二位となっています。以前は男女とも第一位であったほど、胃癌は私たち日本人にとって身近な?癌である…..
今回は、そんな胃癌の組織型分類のお話です。

胃癌の分類にはいくつかの方法ありまして、肉眼的な形に着目した「肉眼型分類」・顕微鏡で見た顔つきに着目した「組織型分類」・全身への進行度に着目した「病期(ステージ)分類」があります。

今回、この記事でお話しする「組織型分類」には胃癌取扱い規約内に定めがあり、一般型として腺癌を想定し、その他を特殊型とします。

・・・すこしわかりづらいかもしれませんが、簡単に言うと、病変を顕微鏡で見た場合にどのような顔つき(組織構造)になっているかによって分ける考え方で、いろんな悪人顔があるということ。

表の 1)一般型とは、腺管形成の豊富な癌です。膨張性の発育を示し、肉眼的所見は境界明瞭な限局型が多くみられます。2)特殊型は、腺癌形成に乏しくびまん性に浸潤します。肉眼的所見は境界不明瞭が多く、リンパ行性転移や腹膜播種が多く見られます。分化型に比し若年者の割合が多いのです。

「限局型の胃癌」などと言われると、該当した患者さんは楽観的に考えてしまうかもしれませんが、癌はもちろん癌であり、例外なく悪性です。
以前には胃癌が原因で死亡する人の割合は、癌による死亡者のうち、約40%といわれていました。これはびっくりするくらい多い数字です・・・・他の臓器も癌になりうるのですから。しかし近年、胃癌の患者数も、胃癌による死亡者の割合も減少してきました。以前まで男女とも日本の癌の中で、死者数が第一位だった胃癌が、なぜ今は一番でなくなったのでしょうか?

それは、胃内視鏡による定期検診の普及や胃癌診断法の発達により、胃癌の予防・早期発見・早期治療が可能になり、治癒率が向上してきたからです。「胃カメラは、オエッとなるから苦手」と尻込みされる方が多いのですが、当クリニックは鼻からの胃カメラを全国でいち早く導入することで、嘔吐反射のない胃内視鏡検査を行っております。

鼻からの胃カメラですと、カメラが舌のつけ根を通りませんから、喉に触れることもなく、不快感や吐き気をほとんど感じずに検査を受けることができますよ。それに検査中に医師との会話も可能です!!
口からの胃カメラで「オエッ」となりもう二度とやりたくないとお考えの方、ぜひ当院で鼻からの胃カメラを受けてみてください。楽な検査で毎年定期的に検診を行って予防をすることが大切ですね。

胃癌は、よほど進行するまでは無症状が普通ですから、まだ胃内視鏡検査をされたことのない方は、働き者の胃を気にかけてあげましょう!! 一年に一度は検査すれば早期発見・早期治療ができるのですから!!