経鼻内視鏡.jP
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萎縮性胃炎と密接な関係!?~RAC~

2016/12/01

辛くない胃の内視鏡検査のららぽーと横浜クリニックです。
皆さんは萎縮性胃炎という病名をご存知でしょうか。
「胃がんのリスクが高くなるんでしょ?」と詳しい方もおられるかもしれません。その通りです。
今はネットで調べたら医学的情報もある程度は調べられますからね。

では、「RAC」という言葉はご存知でしょうか。
こちらはあまり聞き慣れない言葉ですよね。「萎縮性胃炎」と深い関係のあるものなのです。
今回は、萎縮性胃炎とRACについてお話をしていきます。

萎縮性胃炎とは?

今回のお話の中心である慢性萎縮性胃炎(胃酸の出ない状況)は、胃の粘膜が常にじわじわとした慢性的な炎症を起こしている状態を言います。
慢性的な炎症が長い間続くことで胃粘膜の障害が進むと、胃の粘膜が萎縮してしまいます。こうした胃の粘膜の状態のことを「萎縮性胃炎」と呼びます。
わかりやすく言うと、「元気のなくなった胃粘膜」の雰囲気でしょうか。
萎縮性胃炎の診断方法は胃内視鏡検査です。胃粘膜を肉眼的に観察して、いくつかのタイプの胃炎から萎縮性胃炎に分類される胃粘膜を確認することで診断されます。
萎縮性胃炎の原因は加齢性変化もあるのですが、ほとんどはピロリ菌の感染によるものであると最近の研究で分かってきています。

RACとは?

RACはピロリ菌未感染の正常な胃 (胃底腺領域)にみられる、鳥の足様微細血管所見(regular arrangement of collecting venules)と呼ばれる所見のことを言います。
RACがある粘膜は、炎症も萎縮もない健康で正常な胃の粘膜の状態を表します。それに対して、慢性胃炎や萎縮性胃炎を起こしている場合は毛細血管が壊されて、RACをはっきりと見ることはできません。
また、RACはピロリ菌に感染していないことを示唆する重要な所見です。RACの有無によってもピロリ菌感染の判定を肉眼的に大体はつけられるのです。

今回の重要なキーワードが出揃いましたね。

萎縮性胃炎とRACの関係は?

炎症を起こした胃粘膜の萎縮の程度を評価する際、内視鏡でRACの有無で見るのが適切だと言われています。その際に使われるのが「木村竹本分類」という分類方法です。
・木村竹本分類とは?
木村竹本分類分は、1966年に東京女子医科大学の竹本忠良氏ら(後に東京大学の木村健氏によって受け継がれた)の研究によって、体系的に分類されたものを「木村竹本分類」といいます。

クローズドタイプ(C)…腺境界の広がりによって、食道につながる噴門部までの萎縮。
オープンタイプ(O)…噴門部を越えてしまう萎縮。

「萎縮が一番少なく若々しい正常な胃」をC-1とし、「萎縮が一番強くて薄くすべすべな胃」がO-3…と、上の図で言えば下に行くほど萎縮は強いとされます。
それに伴い、C-1からO-3に進むに従って将来の胃がんのリスクが高いとも考えられています。

この木村竹本分類の中でも、特にC-1、C-2、C-3は萎縮をRACの有無で見分けて分類されます。
つまり、萎縮性胃炎の診断にはRACが見られるか見られないかが非常に重要になってくることが分かりますね。

最後に…

今回は専門的な用語も入っていたので、少し難しい内容でしたが、萎縮性胃炎とRACの関係性については理解ができたでしょうか?
萎縮性胃炎は、胃がん発生と密接な関係を持っていて萎縮性胃炎は胃がんのリスクが高くします。しかし、萎縮性胃炎は特有な症状がなく、その診断は内視鏡無くしてはほぼ不可能です。胃内視鏡検査でRACなどの指標をもとに、萎縮性胃炎を的確に診断することが、胃がんの早期発見や予防にも繋がります。
当院の胃内視鏡検査は、大きなモニターを見ながら行います。ですので、もしご自身の胃にRACがあればそれをリアルタイムで見ることが出来るかもしれません。(眠ってしまう方もいらっしゃいますが…)
今回は「RACは健康な胃の証拠!」ということを理解し、知っていただけたらと思います。