こんにちは、横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
皆さんは食事の時、「何か物が飲み込みづらい」「食べものがつっかえる感じがする」と感じたことはありませんか?当院にも、食べ物のつかえ感を訴えて来院する患者さんはよく来院します。「じゃあよくある症状だから放っておいても大丈夫かな?」というのはちょっと違いますね。やっぱり病気が隠れていることがあります。
今回はそんな症状を訴える方に見つかることがある病気「好酸球性食道炎」についてご紹介したいと思います。
アレルギーを起こしたときに出現する「好酸球(こうさんきゅう)」が、食道の粘膜に集中し慢性的に炎症をおこすことで起こる病気です。
好酸球は白血球の一種で、アレルギー反応、喘息(ぜんそく)、寄生虫感染に対する身体応答で重要な役割を果たしています。しかし、一方で、アレルギー性疾患における炎症の一因にもなるのです。
好酸球性食道炎は、約5000人に1人にみられる疾患ですが、近年報告率が増加しています。
アレルギーによっておこるものなので、別名「アレルギー性食道炎」とも言われ、喘息などのアレルギー疾患を合併する頻度が高いことがわかっています。
アレルギー性・・・と聞くと鼻水などの花粉症のような症状を思い浮かべるかもしれませんね。ですが、食道の病気なので症状はもちろん食道に関係するものが出てきます。どのようなものが症状として現れるのでしょうか?
無症状の方もいますが、慢性的な炎症が起こることで食道の機能が障害され、下記のような症状が出ます。
・胸痛
・胸やけ
・嚥下障害
・食物のつかえ感
・腹痛
長期間炎症が続くと、食道が狭窄(きょうさく:狭くなってしまうこと)し、食べものが食べられない、あるいは食べても吐いてしまうといった状態になることもあります。
症状を想像するだけで辛いですよね。このような症状を引き起こす好酸球性食道炎の原因とは何なのでしょうか。
好酸球性食道炎の詳しい原因は不明ですが、食物などのアレルゲンが主な原因と考えられています。牛乳や卵などの決まった食材で調子が悪くなったり、花粉やカビの胞子などで症状がおこる場合もあります。しかし、調べてみてもアレルギーの元がはっきりとしないこともあるため、直接的な食物アレルギーが原因だと言い切ることはできません。
ちょっと難しい話ですが、他にもIL-5、13、15、eotaxin3、TSLPなどの好酸球の活性化に関与するサイトカイン(細胞が分泌する生理活性物質)がアレルギー反応の結果大量に産生され、好酸球が消化管の粘膜に多数浸潤し慢性的に炎症を引き起こすことが原因ではないか・・・ともいわれています。
好酸球性食道炎についてわかったところで、この病気はどのようにして発見されるのかをみていきましょう。
胃内視鏡検査にて縦走溝、白色滲出物、輪状ヒダなどの所見が観察された場合には好酸球性食道炎を疑います。
診断を確定するためには食道粘膜の生検(組織を一部採取して顕微鏡で細胞を見る検査)を行います。
胃内視鏡検査で異常所見が認められないことも多いため、異常が認められなくても症状が強い場合には生検検査を行います。
こうした検査を行うことで好酸球性食道炎の確定診断を行います。では、診断されたあとはどのような治療を行っていくのでしょうか。
無症状の場合には特に治療を行わずに経過観察となります。
症状がある方や、内視鏡上の炎症がひどい方の場合はその人の症状にあった治療を行っていきます。治療法は大きく分けて2つあります。
先述通り、アレルギーが原因とも考えられているため、アレルギーである食物を抜いた食事を摂ることで改善することがあります。
そのためにはまず、原因となっているアレルギーを突き止めることが重要です。体がどのような物質にアレルギーをもっているのかは採血で簡単に調べることが出来ます。こうしてアレルゲンを特定することが出来れば、食事療法で改善を期待できます。
アレルゲンを調べてみても、必ずしも原因となるアレルゲンが見つかるわけではありません。原因となるアレルゲンが分からない場合、また食事療法では症状が改善しない場合には長期の薬物治療が必要になる場合があります。主に使用する薬物は下記の通りです。
薬物療法の場合、まず一番初めに試すのが制酸薬という種類の薬です。この薬には胃酸を抑える作用があり、好酸球性食道炎の約半数の方はプロトンポンプ阻害薬(通称PPIと呼ばれる薬)を服用することにより改善すると言われています。
アレルギーを制御することが重要なため、免疫反応を抑えるためにステロイド薬を使用します。まずは、喘息などの際に吸入する吸入用ステロイドを使用し、それでも効果がない場合や狭窄を来している場合にはステロイドの錠剤などを用い治療を行います。
ただし、ステロイドは副作用もあるので、ステロイド以外の免疫抑制剤や抗ロイコトリエン拮抗薬(きっこうやく:体内のアレルギー反応などに関わるロイコトリエンの働きを抑える薬)といったアレルギーを抑える別の薬を選択することもあります。
好酸球性食道炎は薬物療法で症状が落ち着いた場合でも、自己判断で服用をやめてしまうと1年以内に半数以上の方が再発してしまいます。基本的には薬の服用を続けながら、食事療法も併用し、再燃予防も合わせて行っていきます。そのため、月に一度ほど病院を受診し、医師と症状の確認をおこないながら治療をしていくことが大切です。
治療には時間のかかる病気です。自覚症状がない人もいるので、病気に向き合い定期検査を受けながら治療を受ける必要があるでしょう。
治療には他のアレルギー疾患同様に時間がかかります。自覚症状だけでは治ったかどうか判断ができません。
食事療法や薬物治療の効果を見たり、再燃していないかを確認するためには必ず定期的な内視鏡検査が必要になってきます。
症状が良くなったからと通院は辞めずに完治するまでは医師の指示に従い検査を受けましょう。
いかがでしたか?
好酸球性食道炎・・・初めて聞いたという方も多いかもしれませんが、症状だけで言えば良く聞く逆流性食道炎に近い症状のものが多いですよね。
好酸球性食道炎は名前の通り「好酸球」が、食道の粘膜に集中し慢性的に炎症をおこすことで起こる病気です。好酸球はアレルギーを起こしたときに出現するため「アレルギー性食道炎」とも呼ばれています。症状はない方もいらっしゃいますが主に、胸痛・胸やけ・嚥下障害・食物のつかえ感・腹痛をきたす方もいらっしゃいます。
診断をするためには胃の内視鏡検査を行い、病理検査で確定診断を行う必要がありますので気になる症状がある方は一度病院を受診しましょう。
当院でも胃の内視鏡検査を行っています。インターネット、お電話でもご予約できますのでお気軽にご相談ください。