経鼻内視鏡.jP
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胃粘膜下腫瘍はどんな病気?

2018/08/01

こんにちは、横浜市都筑区胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
胃や大腸内視鏡検査の結果で「粘膜下腫瘍(ねんまくかしゅよう)」と言われたことはありますか?
聞いたことはあるよという方もいるかもしれません。「腫瘍」と聞くと怖いですよね……。
実際はどのようなものなのか、説明していきたいと思います。

 

粘膜下腫瘍とは

まず「粘膜下腫瘍」とは、消化管(胃腸)の粘膜よりも下の層の粘膜に覆われている腫瘍を総称したものです。
同じ腫瘍でも皆さんがよく耳にするポリープやがんは上皮性腫瘍と言って、粘膜下腫瘍よりも上の粘膜から発生します。つまり、腫瘍の発生する粘膜の層が違うのです
粘膜下腫瘍は消化管のどこの壁でもできますが、その中でも最も発生率が高いのが胃壁(いへき)であり、粘膜下腫瘍全体の60%~70%を占めると言われています(胃の粘膜に出来るので胃粘膜下腫瘍と呼ばれます)。

粘膜下腫瘍がどんなものなのか分かったところで、どんなものなのかを実際に見てみましょう。

 

粘膜下腫瘍の症状は?

粘膜下腫瘍は大きくなると消化管の壁の表面に突出した隆起やくぼみが出来、また潰瘍を作成することもあります
下の写真を見てください。どれが粘膜下腫瘍かわかりますか?粘膜にできたコブのようになっているのが粘膜下腫瘍です。

(左)大腸の粘膜下腫瘍 、(右)食道の粘膜下腫瘍

粘膜下腫瘍の初期の段階ではほとんど症状がないので、健康診断等で偶然見つかるものがほとんどです
腫瘍が悪性のものだった場合は、腫瘍が大きくなるにつれて崩れていき出血をします。そうなると同時に、嘔吐や血便(黒色便)などの症状が現れます。また、悪性腫瘍は大きくなると転移する可能性が高いので注意が必要です。

……ちょっと怖いことを書きましたね。しかし、粘膜下腫瘍には良性のものもあります。いくつか種類があるので簡単にお話ししましょう。

 

粘膜下腫瘍の種類

粘膜下腫瘍は治療をせずに経過観察とされる良性のもの、放っておくと転移の可能性もある悪性のものまで様々でその鑑別が大切とされています。
細かく分類がされるので、粘膜下腫瘍の中には

● GIST(gastrointestinal stromal tumor)
● リンパ腫
● 平滑筋腫瘍
● 神経系腫瘍
● 迷入膵

など、ちょっと難しいのですが、いくつも種類が挙げられます(それぞれの解説は割愛します)。
このうち、GISTの一部、悪性リンパ腫、脂肪肉腫、血管肉腫、カルチノイドの一部では転移をきたすこともあり、悪性度の高いものもあります。
しかし、粘膜下腫瘍は切除前の確定診断が難しいので、粘膜下腫瘍の大きさや顔つきから悪性初見を疑う場合は切除を行います

では粘膜下腫瘍と言われた場合はこの後、どのような治療方針となっていくのでしょうか?

 

粘膜下腫瘍の治療

前述したとおり、粘膜下腫瘍の確定診断は難しいため、悪性を疑う所見があるかないかで治療方針が変わってきます。
悪性を疑う所見のポイントは「サイズ」です。

2cm未満の腫瘍の場合

悪性を疑うような初見が無ければ(検査結果が良性であれば)内視鏡検査での定期的な観察をします。

2cm以上の腫瘍や、急に大きくなった腫瘍の場合

サイズの大きなもの、定期的な観察などで急に大きくなったことが確認された腫瘍に関しては、悪性と疑われ手術が必要となるケースが多いです。
手術は、通常のポリープとは異なり内視鏡検査で切除を行うことは難しくなります。粘膜下腫瘍は粘膜の下の奥深くまで浸潤しているため、腫瘍を粘膜からえぐり取る必要があるからです。そのため、ほとんどが「腹腔鏡手術(腹部に小さな穴をあけて行う)」を用いることになります。

 

まとめ

粘膜下腫瘍そのものを予防するのは難しいと言えるでしょう。粘膜下腫瘍になることを予防できなくても、最悪の事態にならないために大切なのは『粘膜下腫瘍が見つかったら定期的な内視鏡検査を受ける』ことです。
上記でも話したように、粘膜下腫瘍は無症状であることも多く、良性悪性の確定診断の難しいものです出血、下血などの症状が出てからでは手遅れであるケースも少なくありません
特に胃という臓器は病気の進行が早いため、悪性であった場合に早期で発見できるよう当院でも1年に1度の内視鏡検査を必ずお勧めしています。過去にX線(バリウム)検査、内視鏡検査で粘膜下腫瘍の指摘があるのに数年間放置している方、今まで一度も検査を受けたことがない方、健康な人生を送るためにも是非とも内視鏡検査を受けましょう。