経鼻内視鏡ブログ

2012年1月27日 金曜日

経鼻内視鏡検査の実際の手順について

経鼻内視鏡検査の実際の手順はどんなものなのかご存知ですか?
今回は当院で行っている経鼻内視鏡検査の準備の様子、またどんな風にして検査や診療が進んでいくのかをご紹介していきたいと思います。


経鼻内視鏡は細いチューブを鼻内に挿入していく。
「鼻からスパゲッティを飲む感覚」でしょうか。



まず、最初に経鼻内視鏡検査の予約。
これは、一度受診されるか、またはインターネットやお電話で予約が可能です。
(参照)ららぽーと横浜クリニックの内視鏡検査予約ページ
(電話番号)045-929-5082(14時以降なら直接予約が取れます)


そして、検査当日です。

①受付&検査準備

受付で事前にお渡ししておいた検査の同意書などをお預かりいたします(電話やインターネットからのお申し込みの場合は、当日ご記入していただきます)。
次に検査の準備室(=検査後の回復室でもあります)へご案内いたします(移動式のベッドがあり、各部屋はカーテンで仕切られています)。この検査準備室で、看護師が問診をさせていただきます。経鼻内視鏡検査をお受けになるきっかけとなった症状・これまでの病歴・現在治療中の病気・薬に対するアレルギーなどを中心に問診致します。
そして、同時に、経鼻内視鏡検査前の準備も進めていきます。
経鼻内視鏡検査の前は胃・腸管の泡を取り除く「消泡剤(液体)」を飲んでいただきます。ヒトの胃の中には食べ物を消化するときに出てくる胃酸や消化酵素によって自然と泡がでてきます。ところが、経鼻内視鏡検査では、胃の中に泡が残っていると胃の粘膜の状態が観察しづらくなってしまい、正確な検査ができなくなってしまいます。そこで「消泡剤」を服用していただくのです。
また、時々緊張のあまり体ががちがちになってしまう方もいらっしゃいますので、検査を担当する医師と相談をし、あらかじめ点滴をすることがあります
次に、最終準備。鼻の麻酔です。止血剤を含んだ局所麻酔作用のあるスプレー(鼻の通りを良くする作用もあります)の噴霧とゼリーを鼻内に注入します

②いざ内視鏡室で検査

内視鏡室にはベッド乗ったまま移動します。内視鏡室では、検査を担当する医師と看護師から検査前の最終チェックとしてお名前や検査内容を確認させていただきます。内視鏡検査開始前に鎮静剤の注射を軽度使用して検査を開始します。経鼻胃内視鏡の場合、検査時間はおよそ5~10分程度で、検査後はベッドごと回復室へ移動して休んでいただきます。
*検査着にどの程度休んでいただくかというと、「鎮静剤の効果が落ち着くまで」とさせていただいています。これは患者様お一人おひとりでお薬の効き方が違いますので、同じ使用量でも20分程度で落ち着く方もいらしゃれば検査後1時間ほど院内で休まれる方もいらっしゃるためです。

③最後は医師の診察
検査終了後に今回の検査の結果として「検査報告書」をお渡ししています。これは実際に胃内視鏡で撮影した胃の中の写真と医師からのコメントを記載したもので、今後の健康管理にお役立ていただけるよう皆様にお渡しさせていただいております。最後に医師からの検査所見・今後の方針等についての説明があり、会計終了後に帰宅となります。

こんなに手順が複雑なのかと思われたでしょうか?実際は、看護師が誘導するので気軽にご来院ください。来院からご帰宅までの所要時間は1時間から1時間30分程度です。
少し検査の様子が見えたでしょうか?まだちょっと心配...という方は、まずはご相談もかねてご来院くださいね。
(参照)ららぽーと横浜クリニックの経鼻内視鏡検査

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2012年1月25日 水曜日

逆流性食道炎のロサンゼルス分類

最近胸焼けやげっぷがあり、食事を取ると悪化する、喉に違和感がある、声がかすれる、背中が痛い・・・こういった症状があった場合に疑われるのは「逆流性食道炎」です。


逆流性食道炎とは胃液が食道に逆流して食道粘膜が荒れてしまう疾患です。
原因は・ストレス・食道裂孔ヘルニア・胃の手術後の後遺症・アルコールの飲みすぎ・肥満・悪い姿勢などとされています。このような事が原因で胃液が食道に逆流し停滞することで、食道内が傷つけられて炎症を起こすのです。
「なぜ、胃は大丈夫なのに食道だけが傷ついてしまうのか?」と思われるかもしれませんが、胃の粘膜は胃壁から分泌される粘膜によって保護されているのに対して、食道粘膜はそういった保護機能がないため、胃液が逆流することで簡単に食道粘膜が荒れて炎症を起こしてしまうのです。

逆流性食道炎の検査方法はいくつかありますが、その中でも最も良い方法が実際に炎症の程度を医師が目で確認できる胃内視鏡です。逆流性食道炎は内視鏡で見た炎症の程度によって分類があります。
ロサンゼルス分類と呼ばれており、グレード別にN・M・A・B・C・Dという分け方をします。さて、写真で見ていきましょう。

(グレードN )

症状が出ていても、内視鏡検査上では炎症がなく、正常な食道の状態。


(グレードM )


 粘膜の炎症はないけれど、粘膜が赤みを帯びている状態。


(グレードA :軽症)

 直径5mm未満の粘膜の炎症で、粘膜のヒダの一部分のみに炎症が見られるもの。


(グレードB:軽症)

 直径5mm以上の粘膜の炎症で、複数の粘膜のヒダに炎症が見られるが、その炎症が連続していない状態。


(グレードC :重症)


 粘膜の炎症が複数の粘膜のヒダに、連続して広がっている状態。


(グレードD :重症)

 全週の75%以上に粘膜の炎症ができている状態を言います。

・・・・以上のように分類され、症状を考慮に入れて治療が行われます。



ところで、この逆流性食道炎に関連して大事なことを。
胃内視鏡検査により下記のような「バレット食道」(逆流性食道炎をくりかえすことによる合併症:これが臨床では重要です)も発見できます。

バレット食道(合併症)


食道上皮は本来は体表の皮膚と同じ(重層)扁平上皮ですが、逆流性食道炎では円柱上皮化生が生じることがあり、これに特殊腸上皮化生が合併したものをバレット食道と呼びます・・・要するに食道が胃みたいになっているということです。このバレット食道は食道腺癌の前癌状態とされ、無治療では高確率で食道癌が発生してしまいます。
ということは・・・逆流性食道炎の患者さんは定期的な内視鏡検査が必要だということになります!


胃の内視鏡検査の普及で、以前は胃炎と言われていたものも、実は逆流性食道炎だったというケースも多いことがわかってきています。胃の病気の早期発見・治療はとても重要ですから、症状があれば早めに胃内視鏡を受けられることをお勧めします。

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2012年1月24日 火曜日

いろいろなアニサキス条虫

引き続き、「アニサキス条虫」のお話。

「魚介類を食べた後に起こる激しい胃痛」が「アニサキス条虫症」の典型的な症状です。
診断には胃カメラ(胃内視鏡検査)が必須です。
幼虫が胃の壁にめり込んでいる場合は、胃カメラで虫体を除去すればたちどころに症状が消えます。

「アニサキス」にも種類があります。

・正式名「アニサキス・シンプレックス」

白色半透明、魚の体内で渦巻状をしています。
前回アップした記事のものです。胃内視鏡検査で遭遇するアニサキスの大半はこれです。



そして、別の種類のアニサキスもいます。

・正式名「シュードテラノーバ・テシピエンス」

茶色っぽく、一般的には渦巻状をしていません。
この色のものはレアです。種類が異なっても、治療(=内視鏡で摘除)に違いはありません。



上記のアニサキスを内視鏡で摘除された後の様子。
虫刺口がくっきり見える。胃痛は速やかに治った。

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2012年1月21日 土曜日

胃内視鏡検査でアニサキス条虫を発見摘除!

「アニサキス条虫症」とは、魚介類に寄生している「アニサキス」という寄生虫の幼虫を生で食べてしまった時に、その幼虫が人の胃壁や腸壁に食い込み、激しい腹痛(胃痛)が起きるという病気です。
普通に見かける胃炎や胃潰瘍の痛みと区別は不可能ですから、症状が上記のようなら、診断には胃カメラ(胃内視鏡検査)が必須です。


今回遭遇したのは「アニサキス・シンプレックス」
白色半透明、魚の体内で渦巻状をしています。


もちろん発見即摘除の運びとなり、患者さんの胃痛は速やかに改善しました。

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2012年1月21日 土曜日

慢性胃炎とはどんな病気かご存知ですか?

慢性胃炎とは胃の粘膜が何らかの原因で傷付いて炎症を起こしている状態が持続的に繰り返される病気のことをいいます。これまでは慢性胃炎とは長年に渡る刺激によって胃粘液に生じた変化で、その大部分は病気ではなく年を取ることによって変化してきたものだとされてきました。
症状だけから判断するとすれば、吐き気・嘔吐・腹部膨満感・みぞおちの痛み・胸焼けなどが連続的に繰り返される場合に慢性胃炎と診断されます。
(実際の臨床の場では、胃内視鏡検査で胃炎の所見があるのに無症状だという人も多くいます)
(参照)急性胃炎・慢性胃炎とは

では何が原因で慢性胃炎を患ってしまうのでしょうか?
胃というのは食べ物を消化するために胃酸によって絶えず刺激を受けています。そんな中、精神的に強いストレスがあったり・アルコールの飲みすぎ・暴飲暴食などで胃酸の分泌過多になると胃壁を守っている粘膜が胃酸によって消化され炎症してびらんを起こしてしまいます。これが慢性胃炎を発症させる原因となっている訳です。
軽度のびらんの場合は原因となったストレス等がなくなると時間とともに経過が良くなっていきますが、重度の胃炎の場合は胃壁が萎縮してしまい症状が慢性化してしまいます。

主な治療法
①症状がないのに慢性胃炎だと診断された場合:特に治療はせず経過のみを見る。
②反対に症状があり慢性胃炎だと診断された場合:食事療法または薬物療法が必要となる。

不規則な生活やストレスの原因となるものは慢性胃炎の原因となり兼ねません。このようなことを排除し心身をリラックスさせることも治療向上のためには大切なことですので日々の中で改善に向けて心がけていきましょう。

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