経鼻内視鏡ブログ

2011年12月26日 月曜日

食道癌は治癒しにくい

喉の奥から胃の入り口までの間に出来る癌が食道癌です。
この癌は日本人に多く、アルコールや熱いものや刺激物などの食事に関係しているといわれ、タバコにも大いに関係があるものとされています。多くは「扁平上皮癌」というタイプで、食道の粘膜から発生するものです。

年齢的には50歳以上の高齢者に多く、女性よりも男性に4~5倍の発生がみられます。
治りにくい癌として知られ、早期癌で手術をしても5年の生存率(≒完全治癒率)は80%です(食道癌全体では約20%です)。

症状は、「嚥下困難」「嚥下時の胸部痛や灼熱感」「体重減少」です。
食道癌が大きくなると、食事が通過しなくなりますので、食べてもすぐにもどすことになります。
転移によって声がかれたり、全身の痛み症状なども出てきます。


さて、「治りにくい」癌である食道癌を、治る段階で発見するにはどのようにすればよいのでしょうか?
それは・・・胃内視鏡(胃カメラ)による「早期発見」に尽きます。
上に書いた症状は全て食道癌が既に進行してしまってから出現するものです。
よって、無症状の段階で胃内視鏡(胃カメラ)を行うしかありません。
少し専門的になりますが、癌は食道の粘膜(=一番表面の膜)から発生するので、精密な胃カメラを行えば、いち早く発見することにつながります。
特に、最近開発された「内視鏡革命」であるNBIを用いることは早期発見に有用であることが分かっています。
(参照)特殊光による胃内視鏡診断

お酒やタバコがお好きな方は特に要注意

是非、食道癌と胃癌のチェックを胃内視鏡(胃カメラ)で。

投稿者 医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック | 記事URL

2011年12月26日 月曜日

次世代内視鏡は光の時代へ! 蛍光内視鏡(AFI)

従来の内視鏡観察では発見しにくかった癌を早期に発見できる次世代内視鏡が登場しました。
正常粘膜と癌で、光の波長によって生体内への深達度が異なることを利用し、癌に合わせて特定の波長の光を用いることで、従来の内視鏡観察では発見しにくかった癌も発見できるようになると期待されています。

胃でも大腸でも、粘膜に青色光を照射すると蛍光が発生することは以前から知られていました。
ところが、この青色光はとても微弱なので、これまでの内視鏡に搭載のCCDでは検出できませんでした。
そこで、今回登場したのが「蛍光内視鏡(AFI;Auto Fluorescence Imaging)」です・・・新開発の超高感度CCDを搭載することで、青色光をキャッチして、画像化することに成功したのです。
内視鏡本体から粘膜へ向かって青色光を照射してコラーゲンなど蛍光物質からの自家蛍光を、その新開発の超高感度CCDで捉え、正常粘膜と病変粘膜を異なる色調で強調表示します・・・その結果、早期癌を発見しやすいのです。
(参照)特殊光による胃内視鏡診断


患者さんの立場では、どんなに苦しまずに内視鏡検査(胃内視鏡;胃カメラや大腸内視鏡;大腸カメラ)を受けることができたとしても、病変を見逃されたのでは本末転倒です。
年に1度は定期的に内視鏡検査を受けている人、意を決して初めて検査を受けた人・・・どなたにとっても、内視鏡は一大検査です。


以前、このブログで「NBI」について少し紹介しました。
今回紹介したAFIはNBIと並ぶ最新鋭の内視鏡検査です。

投稿者 医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック | 記事URL

2011年12月25日 日曜日

どんな時に胃内視鏡検査(胃カメラ)を受ければよいのか

「病気ができた時に、治療可能な段階で発見できるタイミングで」検査を行えれば理想的です。

胃カメラ検査は、屈曲自在のファイバースコープで食道、胃、十二指腸を診る精密検査です。
(参照)経鼻内視鏡検査とは
胃内視鏡検査(胃カメラ)でわかる病気・・・・その代表である胃癌については、大腸癌と比較して進行が速いことが知られています。

そこで、胃内視鏡検査については、「症状の有無にかかわらず、1年に一度は受けましょう」となります(大腸内視鏡と比較して検査間隔が短くなります)。

胃については、ポリープが癌に変わるケースは限定的ですので、ポリープ切除は必ずしも「胃癌の予防」には繋がりません。
なので、検査の目的はほぼ専ら「胃癌の早期発見」ということになります。



大腸内視鏡(大腸カメラ)と同様に胃内視鏡(胃カメラ)についても、現在の日本の健康保険制度の範疇で行うには、検査するに値する理由がなければなりません。
(でなければ、検査が全額自己負担となります)


そこで、健康保険の範囲内となりやすい要件を書きます。

・胸焼けのある時、腹痛や吐き気などの自覚症状が続く時
・胸のつかえ感のある時
・黒っぽい便がでた時
・みぞおち付近が痛む時
・胃透視(バリウム検査)で異常を指摘された時
・検診の採血検査でペプシノーゲンの異常を指摘された時
・萎縮性胃炎のある人
・飲酒・喫煙される人(食道癌対策)
・胃潰瘍、十二指腸潰瘍の既往症のある人
・家系に胃癌のある人(若い人でも)


上記の方は、健康保険内で胃内視鏡検査(胃カメラ)を受けられると言えます。


今では、快適に検査できる「鼻からの胃カメラ」もあります。
もはや胃カメラや大腸カメラはやらなきゃ損な検査とさえ言えます。
もちろん、苦痛なく検査できる技術ある医療機関に限ってですが・・・
 

投稿者 医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック | 記事URL

2011年12月25日 日曜日

症状別! 市販の胃薬の選び方

胃の調子が悪い時に、市販の薬で済ませている方がいます。

胃もたれ、胃の痛み、食欲不振、吐き気・・・・・これらの症状をきたす病気はたくさんあり、各人の病気に見合った薬を選ぶためには正しい診断を下す必要があります。
(診断なしで薬を選べという方が、本来は無理なのです。そもそも薬だけで治る病気とも限りませんからね)



医師の診断なしで薬を飲むことは、いわば、「当てずっぽう」で薬を飲むようなものです。
「薬を飲めば症状が治まるから大丈夫」と思っている方もいるようですが、間違いです。
薬では完治しない病気のうち、症状が改善したり悪化したりを繰り返す病気があるからです。

ところが、休日であったり、大切な仕事があったりと、医療機関に行けないことも多い人がいるのも事実です。
そこで、今回は敢えて「症状別!市販の胃薬の選び方」(当てずっぽう版?)を書きます。


ではスタート!

ドラックストアに並んだたくさんの胃腸薬ほとんどはいくつかの成分が組み合わされた「総合胃腸薬」です。
症状が明確かつ限定されている方にはその症状に適した成分が配合されている胃腸薬を選ぶ必要があります。
効果的に症状を改善するためにも、配合されている成分の働きを知り、自分の症状に適した胃腸薬を選びましょう。

・空腹時の胃の痛み、胸焼け、げっぷ→「制酸剤」「胃粘膜修復剤」
過剰に分泌された胃酸を中和し、胃粘膜への負担を軽減させます。
「胃粘膜修復剤」は傷ついた胃粘膜を修復し、さらに胃の血流を増加させることで胃粘膜の再生力を高めます。

・胃酸の過剰分泌による胃の痛み→「酸分泌抑制剤(H2ブロッカー)」
1997年から市販薬として大々的に販売された胃薬です。H2受容体という胃酸分泌に関わる部分をブロックすることで胃酸の分泌を抑えます。

・食後に胃がもたれる→「消化剤」
「消化剤」は消化酵素の働きで食べ物の消化を助けます。
 
・食欲不振→「胃運動機能改善(整胃)剤」
胃の運動機能が低下している状態です。
整胃剤は胃の蠕動運動を助ける効果があります。
 
・吐き気、胃腸の痛み→「鎮痛鎮痙剤」
胃の動きが失調してけいれん気味になって痛む場合があります。
なので、胃の活動を支配している副交感神経を遮断する薬を飲みます。
その作用は過剰な胃酸分泌や胃の緊張による痛みを和らげます。


・・・いかがでしょうか。
自分に合った胃腸薬を探す際に、よくわからない時は薬局の薬剤師さんに相談するのもよいかもしれません。


これは「どうしても病院を受診できない時のため」に書いたものです(最後に念のため再確認)。

投稿者 医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック | 記事URL

2011年12月25日 日曜日

胃潰瘍に対する手術について

胃潰瘍で手術する・・・20年以上前ではごく当たり前になされてきた医療ですが、近年は滅多に手術されなくなりました。

胃の壁が傷つき、部分的に欠損した状態が「胃潰瘍」です。 
胃潰瘍は、胃液中の塩酸と蛋白の分解酵素であるペプシンによる消化作用により形成されます。
胃潰瘍の自覚症状として最も一般的なものとしては「疼痛」であり、心窩部(みぞおち)から左上腹部にかけての鈍痛です。
(参照)胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは

 
胃内視鏡(胃カメラ)で胃潰瘍が見つかったら、まずは癌細胞がないか直接組織を採って顕微鏡で調べます。
潰瘍を作るタイプの胃癌もあるからです。

ほとんどの胃潰瘍は胃酸を押さえる投薬と食事療法で治療していきます。
近年は、重度の胃潰瘍であってもよく効く薬(H2受容拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬)があり、入院や手術が必要な患者数は減少しています。




では、タイトルの「胃潰瘍に対する手術」とはどういったものでしょうか。

・出血が内科的治療で制御できない場合(出血)
手術方法は、内視鏡的に止血が困難なとき手術となり、出血部位を含む胃切除術を行います。 

・潰瘍が深くなって胃の壁に孔があいて腹膜炎になった場合(穿孔)
手術方法は、穿孔部を含めて胃酸分泌範囲の胃を切除する方法(単純胃切除)と、胃に付着した脂肪の膜である大網(たいもう)を孔に
入れて胃壁と縫合して孔をふさぐ方法(大網充填法)があります。
最近は、腹腔鏡下にこの大網充填手術を行うことも場合によっては可能になりました。

・長年潰瘍を繰り返しているうちに、胃の出口がしだいにかたく、狭くなり食べ物の通りが悪くなった場合(狭窄)
手術方法は、酸分泌を刺激する迷走神経を切り離し、狭窄部を含め幽門部(=胃の出口付近)を切除します。
潰瘍と狭窄の両方がなくなります。

どれも(特に3番目は)レアです。



腹痛があれば様々な病気が考えられますが、その代表の一つが胃潰瘍です。

今では胃カメラも楽に受けられる時代です。
胃潰瘍で手術にならないために、早期発見、早期治療が大切なのは言うまでもありません。

投稿者 医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック | 記事URL