経鼻内視鏡ブログ

2011年12月23日 金曜日

ピロリ菌感染、高率で胃がんに

以前、ヤフーニュースの記事で、「ピロリ菌感染、高率で胃がんに」というものがありました。

細菌の一種の「ヘリコバクター・ピロリ」に感染すると、胃がんになる率が5~10倍高まることが、厚労省研究班の大規模な追跡調査で分かった。ただ、海外の研究では、除菌しても胃がんにかかる率を減らせなかったとの結果が出ており、研究班は「予防には、禁煙や食事の減塩、胃がん検診の受診などを勧める」としている。(毎日新聞)


WHOによって確実な発癌因子とされているピロリ菌ですが、やっと日本でのスタディーでも結果が出たようですね。これで、ピロリ菌の除菌が単独で(=胃十二指腸潰瘍の病名なしで)保険で認められるようになる日も近いかもしれません。
(参照)ピロリ菌とは


医療が高度になればなるほど、予防医学の重要性は増していきます。
今回のピロリ菌の除菌もしかりです。

ひょっとして、いつか遠い将来には、病気の予防(ピロリ除菌、禁煙、胃カメラや大腸カメラを含む定期健診、予防接種など)をしなかったら、病気になっても健康保険がきかなくなる(=自己責任とみなされる)ようなシビアな時代が来るかもしれません・・・・なんてのは杞憂でしょうか?

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2011年12月22日 木曜日

胃大腸内視鏡の革命! NBIとは

内視鏡のNBIって何ですか?

もし知り合いに聞かれたら、こう答えるでしょう↓

「内視鏡検査において、胃や腸に青い光をあてることで、血管を浮き出させて見えるようにして病気を見つけやすくする仕組み」のことです。


これがですね・・・実際使ってみると、言い方は良くないけれど、まさに「バカチョン」なくらい簡単に病気がわかるんです。
これで病気を見つけてからNBIをoffにしてみると・・・!!やはりよく見たら小さな病気があることがわかります!(よく見ないとわかりません)

まったく、ヒトの視力には限界があることを実感させられます。
よく考えてみれば、これまでヒトの通常視力に依存してきたこと自体が不自然なことだったのかもしれません。


実際にNBIを使用すると、胃や腸の表面の血管部分が茶色に見えることによって血管模様がはっきりします。
血管模様によってどんなタイプのポリープなのかが概ねわかるので、NBIは非常に便利です。
また、普通はまず見えないような大きさの病変もくっきり描出できるので癌の早期発見に役立ちます。
(参照)特殊光による胃内視鏡診断


・・・そうそう、書き忘れていましたが、NBIとはNarrow Band Imaging System (狭帯域画像システム)の略です。
やや専門的に解説すると以下のようになります。


・NBIとは
従来の内視鏡は先端にカメラや光源のついたスコープ(細い管)を体内に挿入し、体の内側から胃や大腸などを撮影し、外部のモニターに映しだす医療機器です。
それに対して新型内視鏡、NBIは、光源(照明装置)の先端に、青い光だけを通すフィルターをとりつけ、患部に波長の短い青い光があたるようにして観察するものです。
癌ができると、栄養を運ぶため非常に細い血管ができることから、癌細胞の周りには正常細胞には見られない不整形な模様ができます。
NBIでは、狭帯域に絞って調べるため、この模様の部分が強調され、正常細胞との見分けがつきやすく発見出来る確率が高い優れものなのです。
50年以上の飲酒歴と喫煙暦が2大危険因子とされている食道癌、口腔・咽頭癌は拡大内視鏡で上皮乳頭内毛細血管ループ(IPCL)の形態変化とNBIで茶褐色域とその境界を見ることにより超微小癌も発見が可能となりました。

従来、下咽頭癌の6~8割は進行癌で発見されていましたから拡大内視鏡とNBIでの早期発見は、治療を著しく早く治療することが出来るという大きなメリットとなりました。

実際に上部消化管の検査にNBIを試験的に使用した結果、200人に20人以上という高率で、1~2mmというごく初期の咽頭癌を発見。
通常の検査では、こうした初期の咽頭癌を発見できることは極めて稀です。こういったものを発見出来た経緯があるのが、NBIです。



・NBIは他にもたくさんのメリットがあります
まず、胃癌などの場合、拡大内視鏡との併用で、粘膜の微細な構造まで観察できます。
癌の境界を的確に診断できるため、手術の際のとり残し又は逆に小さく切除しすぎて癌を取り残す危険を防ぐことができます。
また、NBIでは、組織の一部を切りとって癌の有無を調べる生検や、
食道癌のルゴール染色(組織にルゴールを塗って、その色の変化から癌の範囲を調べる検査)の必要性が低くなります。
ルゴールには過敏症をおこす人もいるため、そうした人にとっては朗報です。



・・・長文で申し訳ありませんでしたが、いかがでしょうか。

NBIが内視鏡革命と言われる理由を理解して頂けたでしょうか。

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2011年12月22日 木曜日

多発する胃ポリープ



こんなにもたくさんのポリープがある場合も。
全て良性ですので、切除までは必要がないものですが、検診のバリウム検査(胃透視検査)では、毎回ひっかかることでしょう。
こういう方は、最初から胃カメラで定期的に検査を受けましょう。

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2011年12月22日 木曜日

胃がん検診は経鼻内視鏡を行うべき

「癌」の中でほとんどを占めるのは胃癌・大腸癌・肺癌です。
女性の場合は、乳癌も加えてよいでしょう。

なので、「癌が心配」という方は、真っ先に上記の癌をケアせねばなりません。

癌の治療の基本は「早期発見・早期治療」ですので、検診の果たすべき役割は大きいと言えます。



しかし!! 市区町村の検診は、地域でメニューが異なります。

例えば、ららぽーと横浜クリニックが属する横浜市では、

胃がん検診に関しては「胃透視検査」しかメニューにありません。(胃カメラは選択できないのです!)

(参照) 横浜市のがん検診


胃透視検査(バリウム検査)は「影を見て、その人が誰なのかを当てるような検査」ですから、精度が劣ることは言うまでもありません。
胃内視鏡(胃カメラ)のほうが圧倒的に精度が高い検査なのです。

(参考)「胃透視検査(バリウム検査)と胃内視鏡(胃カメラ)の比較」


現在では鼻から検査することで、さらに楽に行えるようになった胃内視鏡(胃カメラ)ですから、「胃がん検診に胃カメラ」がもっと一般的になってもいいのに、と思います。
(既に地域によっては胃癌検診として胃カメラを設定しています)


もっとも、市区町村の言い分もあります。
「検査の精度を求める方は各自で費用を負担して医療機関にかかってください!」
「もうすぐ検診メニューに胃カメラを設定する予定なので、ちょっと待って!」
血税を使う手前、低コストの検査を採用せざるを得ないのです。

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2011年12月21日 水曜日

経鼻内視鏡(経鼻胃カメラ)は楽チン(2/2)

胃痛や胸やけの症状がある方の診断には胃の内視鏡検査(胃カメラ)が必須です。
ところが、診断のために必要であるにもかかわらず、胃の内視鏡検査をすると言うと「辛くてとイヤ」という方も多くおられます。

・・・・そこで、その辛い感覚を変える画期的な内視鏡が、鼻からの挿入を可能とした経鼻内視鏡検査です。

経鼻内視鏡(経鼻胃カメラ)の凄さは前の記事に書きました。


今回は、経鼻内視鏡(経鼻胃カメラ)の良さをさらに強調したいと思います。


①口からの胃カメラに比べてずっと楽なので、検査する医師があせることなく十分な観察が可能です

内視鏡検査(胃カメラ)は医師にとっても少なからずストレスがかかるものです。
内視鏡検査が終わった後に患者さんから「苦しかった」と言われてしまっては、医師もがっかりするばかりです。
そこで、早く検査を終わらせて内視鏡を抜こうという思いがよぎるのです。

ところが、経鼻内視鏡(経鼻胃カメラ)では、鼻の穴からゼリー状の局麻剤を注入したうえで
従来のものより格段に細い直径約5mmの極細の胃カメラを使います。
(まれに鼻孔、鼻道が非常に狭く鼻から入らない方もおられますが、その場合は口からに切り替えます。)
その為、患者さんは検査の時の不安である痛みなく受けることが出来、その結果として医師も気持ちに余裕をもって検査することが出来ます


②鼻をスプレーとゼリーで麻酔するので、のどの麻酔・鎮痛剤を使用しなくてもOK!

経鼻内視鏡(経鼻胃カメラ)では、のどの麻酔や鎮痛剤なしで苦痛なく検査を受けられます。
その結果、口からの胃カメラに比べて検査後の食事を早く摂取できます。
胃カメラの前の数時間は、食事を摂取できません。そこで、内視鏡検査の後はとても空腹感があるのです。
なので検査後に早く食事を摂取できるというメリットは大きいのです。

また、鎮痛剤や鎮静剤なしでも検査可能ですので、検査後の車の運転も可能です。



・・・・いかがでしょうか。

私が思うに、最も革命的なのは経鼻内視鏡(経鼻胃カメラ)の出現によって全般的に胃カメラへのハードルが下がった点です。

これまでの会社の検診では、胃透視(胃のバリウム検査)が行われるのが普通ですが、早期胃癌などはほとんど見つけられないといっても過言ではありません。
これを経鼻内視鏡にすればいかがでしょうか(やがてそんな時代も来ると思います)・・・・早期の胃癌病変がもっと見つかるに違いありません。

経鼻内視鏡(経鼻胃カメラ)は、わが国の胃癌の診断の流れを大きくシフトさせるほどの代物なのです。

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